2014年7月21日月曜日

目に見えるモノが全てな現代人。目に見えないモノにこそ本当の感謝する世界がある

こんにちは、六代目彌市です。

いよいよ西から梅雨明けという発表があり、
今日は本格的な夏の日差しと暑さがやってきましたね〜

それにしても、今週の土日はみなさんイベントの方も
多かったと思いますが、各地雷雨で大変だったようですね!

私達も昨日は、岐阜県各務原の山奥
真伝不動明王寺さんで竹華灯籠まつりでのイベント出演でしたが

夕方から、ものすごい雷と
時折通り雨が降る天候の中、それでも
運良く昨日は大きな雨にあわずに無事イベント開催する事ができました!


昨日は、親父と息子達の所属するチームである
楽風打さんも一緒に参加。

昨年に続き、今年で2度目のご縁をいただきました。


真伝不動明王寺さんは、各務原市町中から少し離れた
山と谷に囲まれた素敵なロケーションにたたずむお寺。

私達も、過去には本当にいろんな場所で
演奏させていただく機会がありましたが、

これほどまで大地と自然、もっと言うと
宇宙を感じさせていただけるようなロケーションは
なかなかないですね〜


毎回いろんなテーマをかかげて演奏ステージに向かいますが、
今回は自分たち自身も、奏でる音も自然の一部なんだと
大地と自然と宙に感謝の心を持って演奏させてもらいました。

虫の声、風の音、雷の音、山の香り・・・

あの空間、あの瞬間にしか出せないというか
引き出されない音が生まれ本当に心地よかったです。

現代人がいま、忘れがちな心である
目に見えないモノやその事に感謝する心・・・

そんな大切な気付きを
与えてくださったように思います。

現代は、自然の中に生かされている人間というより
自分たちが作り上げた地に生きているんだというような
錯覚に陥りがちですが、私達人間も自然の一部ですね。

昔の人はそういう自然と共に共存してきたから
ごくごく当たり前に、目に見えない世界に感謝する心を
持っていたんだと思います。

ご先祖様を敬う心や、大地に敬意を払う・・・

元来の“祀り”の意も
そんな想いや願いのあらわれですね。


今年も圧巻!の高さ3mにも及ぶ
竹灯籠にろうそくの明かりが灯されました。



これは、実行委員のみなさんが
半年も前から1本1本なんと手作り製作された竹灯籠です。

竹に新たな息吹と魂を加え、こうして
たくさんの願いと想いがこもり多くの人の心を
明るく癒してくれています。

来年も同じ時期に開催されます
竹華灯籠まつり、みなさん機会あればぜひとも
ご来場ください。

今年も貴重なご縁に
あらためて感謝もうしあげます








2014年7月20日日曜日

雨天時の太鼓演奏について・・・雨にあたってしまった皮は?メンテナンス方法お知らせします

こんにちは、六代目彌市です。

昨日はここ岡崎はすごい雷雨だったようですね〜!
私はちょっと出張で遠方にでておりましたので
運が良い事に雨にはあわず・・・

今日は、これから岐阜県各務原の真伝不動明王寺さんで
竹華灯籠まつりに出演させていただくので、天気の神様が
到来してくれることを祈って演奏してきます!

この季節、外でのイベントや演奏が多くなると思いますが
太鼓に取ってこの“雨”ほど大敵なものはありませんね・・・

あるお客様から、この時期屋外での演奏が多く
雨の日の天候に悩まされ、万が一太鼓が濡れてしまった場合の
対処方法を教えてほしいと、ご依頼ありましたので

今日は、雨天時の対応について少しお話しさせてもらいます

雨は太鼓にとって大敵。

まず、基本的に雨の中での演奏は
もちろんNGです。

太鼓の皮は水分を含む事で柔らかく伸びやすくなります。
よって、雨があたってしまった皮(伸びやすくなった皮)を
叩き続けるということは=一生懸命皮を伸ばしてしまっている
事になり、結果皮が緩んでしまう原因になります。

皮の張りは太鼓にとって、音をつくる命でありますので
こういう状況は避けていただきたいですね。

ただ、そうは言ってもどうしても
ちょっとの小雨や演奏中に雨が降ってきてしまう・・・

そんな経験私達もあります。


そういう時は、演奏後に以下3つの対応をきちんとしていただければ
大丈夫ですのでご安心ください。


①濡れてしまった太鼓の表面、胴体を
 乾いたタオルでよく拭き取る。

②締太鼓や桶太鼓など、皮を緩める事ができる太鼓は
 すぐにテンションを緩めていただく。

③最後はカバーなどにはすぐに入れずに、湿度の低い環境で
 ゆっくり乾かして上げる。

日陰や涼しい場所でゆっくり乾かしてあげると良い


この3つをしっかりやっていただければ
大丈夫です!

ただし、③の乾燥については
皮は極度の温度や湿度の変化を与えると
これも負担がかかりすぎて破れてしまうなどの
原因にもなりますので、直射日光や熱いドライヤーなどは避け

日陰や涼しい場所で扇風機など
あてていただくのが一番よい方法かと思います

そして、しっかり乾きさえすれば
また同じように問題なくご使用いただけます!


夏まつり本番でいよいよ太鼓が
屋外で、各地で活躍するこの季節です。

きちんとメンテナンスしていただければ
雨の日の対応も心配なく長く愛用いただけると思いますので

ご参考ください!

さて、今日のイベントは雨降らない事を
祈って!!!





2014年7月16日水曜日

思いをカタチと音にする。

こんにちは、六代目彌市です!

いよいよ蝉の鳴き声も聞こえ始め、
梅雨も終わり夏本番!という感じになってきましたね〜

暑いです!?

この時期は1日に何度も着替えるほどの汗をかき、
朝から水を浴びてます!夏バテしないようがんばります


さて、またまた遠方より先日貴重なご縁をいただき
埼玉県はふじみ野市という所まで納品に行ってきました!

ん〜、距離的には東京から約2時間くらいだったかな〜

意外と遠くてビックリでしたが、
こんな所まで来られるのも太鼓がつなげてくれた
ご縁だな〜と、道中のドライブを楽しみながら走ってました。

今回納めさせてもらった太鼓はこちら!
当店オリジナル大太鼓 三六-SABUROKU-


伝統芸能ではなく、地元ふじみ野市で盆太鼓を主に
創作和太鼓として発祥した福岡太鼓さん!

創作系としてはとても歴史がながく45年という長きに渡り
活動されてきたそうです!

早速、会長の試し打ち!


これ、毎回納品させていただいて
みなさん最初に打つ瞬間をワクワク、ドキドキの中
迎えられるのですが、実は!

密かに、一番ワクワク、ドキドキしてるの
私だったりします(笑)


この三六には私自身、とても深い思い入れがあります。

この太鼓を作ったキッカケは、私自身が零を立ち上げ
数年がたった時でした。

チームを立ち上げ、活動していくと
やはり誰もが思うこと!

それは、太鼓が欲しい!

それも、やはり太鼓っていろんな種類がありますが
最初はやっぱり大きな太鼓、大太鼓が欲しい!って
思ったんです。

太鼓屋だからそんなの持ってるでしょ〜
と思われるかもですが、太鼓は材料自体が高価なものなので
なかなかそうもいかず・・・

そこで、当時価格的にも安価で
運搬保管も簡単便利で、やぐら打ちもバット打ちもできる
そんな太鼓ができないかな〜と考え作ってみたのが
この三六でした。

胴体の材質をくりぬきではなく桶胴にした事で
重さの問題をクリアーしました。

そして、胴の長さを平胴にする事で
バット打ち、やぐら打ちもでき
なおかつ運搬や保管が最小限のスペースで持ち運ぶ事が
できるようになりました。

今でも、第一号機は
私達のチームで使ってます!

とは言え、理想のカタチや使い方には
たどり着いたものの、太鼓の命である“音”が
当時はなっとくいくものが正直作れませんでした。

なっとくいく音にたどり着かず
つぶしてしまった太鼓もありました(泣)


自ら演奏活動でいろんな場所や環境で
使ってみながら、どうしたらくりぬきの太鼓に
負けないような大太鼓の魅力である深い音や
響きが出せるようになるのかと、日々試行錯誤を
繰り返してきました。

この太鼓作るにあたって、
自分の中でのミリ単位のマイナーチェンジを
たぶん100カ所以上は繰り返してきたと思います。

いくらお値打ちで使い勝手のいい太鼓があっても
そこに活きた音が宿ってなかったら、結局人の心に残るモノには
ならないし、そういうモノって残されないです

初打を終え、良い意味で
想像していた大締め太鼓の音と全然違う!

と、お客様に喜んでいただき
初打ちされたその音を聞き安心して帰路につきました。

まだまだ、マイナーチェンジや追求すべき音は
深いですが皆さんの心の奥深くに響き渡る音をめざし
今日もがんばります!

福岡太鼓の皆さん
本当に本当にありがとうございました!













2014年7月15日火曜日

一つの太鼓が物語る歴史。

こんにちは、六代目彌市です!

この週末はまた新たなご縁をいただき、
埼玉の方まで納品に走っておりました。

まぁ今回も遠かったなぁ〜と思いながらも
帰り道、こんな見知らぬ土地へ来れるのも
太鼓がつないでくれたご縁だな〜と、しみじみ感じました。

受け継ぐべくは“信頼と責任”


商売は喜んでいただけるお客さんあってこそ!
良い太鼓作る事は当然の事ですが、何より
信頼と責任を大切にする心も、代々受け継がれた
大切な心です。

人は時に、こうした本当に大事にしなければならない事が
何なのかというのを、目の前に欲望などに目をくらませて
忘れてしまう時があります。

細々ではありますが、当店が150年商売させていただけているのも
どんなに苦しい時代があろうとも、こうした気持ちが絶やされぬ事なく、
受け継がれてきたからこそだと、最近とても感じています。


今日もご先祖様に感謝です


さて、最近は愛知を離れる事が多くなりましたが
やはり地元のお客様は昔ながらの大切なお客様。

当店から歩いて1分ほどという近くにある
甲山寺にあります古い太鼓の修理をさせていただきました。

長輝山甲山寺

岡崎にお住まいの方でも意外と
知られてないかもですね!

岡崎市民会館のすぐ西側にあるお寺です。
こんな立派な本堂

甲山寺護摩堂

岡崎市の文化財に指定される歴史と由緒あるお寺で
西暦808年に最澄が安城市に創建したものを
徳川家康の祖父である松平清康が、岡崎城の
鬼門であるこの地に移したのがこのお寺だと、
住職が教えてくださいました。


今回修理させていただいた太鼓は、
この護摩堂で使われている太鼓。


こういう太鼓にしては珍しく
胴全体が本漆で覆われていました。

歴史あるお寺さんの太鼓なので、
一体どんな歴史が刻まれているのかと
ワクワクしながら胴内をのぞくと、
やはりいくつかの銘が刻まれてました!

延享三年二月吉日

延享三年というのは1746年です。
この太鼓が作られた年なのか、修理された年なのか
残念ながら定かではないですが、やはり古い太鼓です

寛政三年六月張り替え

こちらは、修理の記録ですが
寛政三年1791年に現在の幸田町坂崎村で
修理されたと銘が残ってます


当店の銘も残されてました!
明治二十四年八月
太鼓屋彌市

そして、記載された銘の中に
一つどういう方なのか分からない銘があり住職に尋ねてみました。

額田郡岡崎 甲山寺衆徒
多寳坊慧(花押)


多寳坊というのは、現在の市民会館が立つ前にあった
お寺の名前だそうです。

甲山寺は三浦太鼓店と同じ六供町(ろっく)に立っているのですが、
そもそも、六供町の由来そのものが、その昔6つのお寺が立って
いた事から六供町になったんだと教えていただきました。

残念ながら現在その6つのお寺で唯一残されたのが
甲山寺(極楽坊)だそうです。

一つの太鼓から、やはりいろんな事が
学べますね!

こんな機会を与えていただいたのもご縁だと
気になってその6つのお寺の名前調べてました。


東圓院、多寳坊、極楽坊(甲山寺)、吉祥坊、花蔵坊、法壽坊

だそうです。


恥ずかしながら、こんな近くに
こんな立派なお寺さんがある事は
今回のご縁がなければ知りませんでしたね・・・


太鼓は、張り替えて
漆もあらたに塗り直し奇麗に仕上がったので
また長きにわたり受け継がれていくと思います



貴重なお話をいろいろしてくださった
住職にも喜んでいただく事ができました。



地元岡崎の方、ぜひふらっと
散歩にお出かけください!
素敵な場所です。










2014年7月5日土曜日

伝統を守り、伝統を創る

こんにちは、六代目彌市です。

あっという間の7月ですね〜
と、思いきや今月のスケジュールがすでに
パンパン。

ワールドカップで寝不足になってる場合じゃないな!

さて!今月もがんばります(笑)


今月はテレビの取材や、冊子の取材
また、自身の所属する匠の会などで
自分自身の事を話す機会をたくさんいただきました。

あらためて人前で話す事で、自分自身が
伝えたい事、伝えたかった事が整理できて
本当に良いキッカケをいただけたなぁと感謝しております。

私は今、伝えたい、届けたいエネルギーが全開です(笑)

なんでそうなったんだろうと
自分自身で考えてみると、何より誰よりその“価値”や“本質”
もっと簡単に言うと、“良いところ”がハッキリと見えてきたから
だと思います。

もちろん、私は太鼓屋ですので
和太鼓についての事です。

良いところがハッキリ見えると、
それを伝えてあげたいと思うのは人間の真理ではないでしょうか・・・

良いところを伝えてあげれば、成長できるし繁栄するし
何よりそのモノ、その人自身がハッピーになります。

ハッピーな事は長く続けられるし、より多くの人に
また届いていくという、いい連鎖反応が生まれます

では、その和太鼓の本質、価値、“良いところ”って
なんだろうという事ですが、
私自身はその本質を、古い太鼓や伝統芸能の太鼓の音から学びました。

天正五年1577年安土桃山時代から繋がる太鼓。


地元に受け継がれる伝統芸能の太鼓。

古い太鼓や、伝統芸能の太鼓って
すでに何十年、何百年という歴史が積み重ねられ現代に受け継がれたものです。

ご覧いただいても分かる通り、
古い太鼓は何百年という長い年月を経ているので
見た目もカタチも決してきれいとは言えない太鼓です。

なのに、どうして何百年もの間を受け継がれ
また今もなお、ただの飾りではなく現役として活躍する事ができるのでしょうか

その事実を突きつけられた時
一つの答えが見えてきました。

それはたった一発の“活きた音”でした。

見た目やカタチはボロボロであっても
その太鼓には“活きた音”がきちんと宿っていました。

ああ、そうか!

この“音”があるから受け継がれ
そして現代になお多くの人にその音のメッセージを届ける事ができるんだ!

伝統芸能で演奏される太鼓の音も同じです。

見た目やパフォーマンス、エンターテイメントの道具ではなく
その“音”そのものがメッセージとなり届けられているので
実際に“届く”のです。

和太鼓の文化というのは、約30年ほど前から
あらたな需要というか世界が広がってきました。

太鼓が使われる場所って、ほんの30年前までは
伝統芸能や地元の祭礼のみ。

それが近代になり、和太鼓が舞台演奏用の楽器として
あらたなる可能性が見いだされ、現代では多くの演奏家と呼ばれる方々がいます。

いわゆる創作系和太鼓文化の発祥です
私達零〜zero〜もそうですね!

創作系和太鼓文化。

時代の波と、流行にのり
この新たな世界はあっという間に全国から世界中に広がりました。

伝統芸能や祭礼は後継者問題などで本当に縮小傾向にある中、
太鼓が新たなる可能性を見いだされた事は本当にうれしいです

ただ、現代の創作系和太鼓の演奏家と
昔ながらの太鼓や、伝統芸能の太鼓とは
和太鼓というまったく同じ太鼓を使っていながら
大きな大きな違いがある事に気づきました。

それは演奏者の“視点”です。

伝統芸能の太鼓というのは人々の本気の願いを“音”にのせて
届けられています。

届けるべきはその“音”であり、
音そのものがメッセージだからこそ
多くの人々に、神々に届く事を知っています。

一方、現代の創作系和太鼓の多くの演奏家は
残念ながら“視点”が太鼓の音ではなく自分自身に向いています。

目の前にしている楽器、和太鼓であるにもかかわらず
実は演奏者自身、それがいったい何なのかという事が見えていないのです。

舞台演奏という視点で考えれば、
パフォーマンスやエンターテイメント性があることも
もちろん和太鼓の最大の魅力の一つでありますが
ただ、それだけにはなってはいけないのです。

だって、パフォーマンスやエンターテイメント道具でしか
本当になかったら究極、和太鼓じゃなくても良いのでは?
と思います。

演奏者自身が、その“音”を聞く事ができ
きちんと届けられる事ができなかったら、
新たな時代に生まれたこの“文化”が、次の時代の“伝統”となる事はできません。

伝わっていますでしょうか・・・

私達の目の前にはすでに積み重ねられた歴史から
和太鼓の“本質”を学ぶ事ができます。

もうすでに、何百年という積み重ねられた大先輩が存在するのですから
その先輩からなぜそうなれたのかを学ぶ事ができれば、
私は新たな時代に生まれたこの文化が、本当の意味で
次の時代の“伝統”になれると確信しています。


“伝統を守り、伝統を創る”

これは、本日のブログタイトルでもありますが
当店の経営理念にもなっている言葉です。


伝統を守るとは、受け継がれた和太鼓の“本質”そのもの。
たった一発の“活きた音”です。

この本質をきちんと理解し、
常に核になるその“音”がブレなければ
あらたな時代に求められる新しい太鼓だって
いくらでも作る事ができます。

そしてその新しい太鼓がいずれ何百年後かに、
“伝統”と呼ばれるモノになっていてほしい。

そんなメッセージです。



せっかく、新しい時代に誕生した貴重な貴重な“文化”が
本当の意味で“伝統”となる事を本気で願っています

その為には、太鼓の“音”にほんの少しだけ
耳をかたむけてやってください。


本質の宿ったモノは守られ、受け継がれ伝統となっている事実。

本質の宿ったその“音”は多くの人々や神々に届いているという事実。


現代にあたらな可能性が見いだされた和太鼓の文化。

この文化が次の世代の伝統となるには、何を大切にすべきか
もうお分かりでしょう。


単なる一時の“流行”で終わってしまうのか・・・
次の世代につなげる事ができるのか・・・


今一度、目の前にあるその太鼓と
向き合っていただけたら幸いです。