この週末はまた新たなご縁をいただき、
埼玉の方まで納品に走っておりました。
まぁ今回も遠かったなぁ〜と思いながらも
帰り道、こんな見知らぬ土地へ来れるのも
太鼓がつないでくれたご縁だな〜と、しみじみ感じました。
受け継ぐべくは“信頼と責任”
商売は喜んでいただけるお客さんあってこそ!
良い太鼓作る事は当然の事ですが、何より
信頼と責任を大切にする心も、代々受け継がれた
大切な心です。
人は時に、こうした本当に大事にしなければならない事が
何なのかというのを、目の前に欲望などに目をくらませて
忘れてしまう時があります。
細々ではありますが、当店が150年商売させていただけているのも
どんなに苦しい時代があろうとも、こうした気持ちが絶やされぬ事なく、
受け継がれてきたからこそだと、最近とても感じています。
今日もご先祖様に感謝です
さて、最近は愛知を離れる事が多くなりましたが
やはり地元のお客様は昔ながらの大切なお客様。
当店から歩いて1分ほどという近くにある
甲山寺にあります古い太鼓の修理をさせていただきました。
長輝山甲山寺
岡崎にお住まいの方でも意外と
知られてないかもですね!
岡崎市民会館のすぐ西側にあるお寺です。
こんな立派な本堂
甲山寺護摩堂
岡崎市の文化財に指定される歴史と由緒あるお寺で
西暦808年に最澄が安城市に創建したものを
徳川家康の祖父である松平清康が、岡崎城の
鬼門であるこの地に移したのがこのお寺だと、
住職が教えてくださいました。
今回修理させていただいた太鼓は、
この護摩堂で使われている太鼓。
こういう太鼓にしては珍しく
胴全体が本漆で覆われていました。
歴史あるお寺さんの太鼓なので、
一体どんな歴史が刻まれているのかと
ワクワクしながら胴内をのぞくと、
やはりいくつかの銘が刻まれてました!
延享三年二月吉日
延享三年というのは1746年です。
この太鼓が作られた年なのか、修理された年なのか
残念ながら定かではないですが、やはり古い太鼓です
寛政三年六月張り替え
こちらは、修理の記録ですが
寛政三年1791年に現在の幸田町坂崎村で
修理されたと銘が残ってます
当店の銘も残されてました!
明治二十四年八月
太鼓屋彌市
そして、記載された銘の中に
一つどういう方なのか分からない銘があり住職に尋ねてみました。
額田郡岡崎 甲山寺衆徒
多寳坊慧(花押)
多寳坊というのは、現在の市民会館が立つ前にあった
お寺の名前だそうです。
甲山寺は三浦太鼓店と同じ六供町(ろっく)に立っているのですが、
そもそも、六供町の由来そのものが、その昔6つのお寺が立って
いた事から六供町になったんだと教えていただきました。
残念ながら現在その6つのお寺で唯一残されたのが
甲山寺(極楽坊)だそうです。
一つの太鼓から、やはりいろんな事が
学べますね!
こんな機会を与えていただいたのもご縁だと
気になってその6つのお寺の名前調べてました。
東圓院、多寳坊、極楽坊(甲山寺)、吉祥坊、花蔵坊、法壽坊
だそうです。
恥ずかしながら、こんな近くに
こんな立派なお寺さんがある事は
今回のご縁がなければ知りませんでしたね・・・
太鼓は、張り替えて
漆もあらたに塗り直し奇麗に仕上がったので
また長きにわたり受け継がれていくと思います
貴重なお話をいろいろしてくださった
住職にも喜んでいただく事ができました。
地元岡崎の方、ぜひふらっと
散歩にお出かけください!
素敵な場所です。