こんにちは、六代目彌市です(^^♪
ここ数日、ブログも更新できないほどバタバタで(泣)
書きたい事たくさんあるのにーーーーー!
今年こそ毎日更新すると決めたのにーーーー!と
自分自信に苛立ちながら・・・
お陰様で、新年早々今年はお仕事たくさんいただいておりまして
これも春からの消費税増税の影響でしょうか(^_^.)
太鼓は安い買い物ではないので
消費税の影響は大きいかもですね!
しかしながらお仕事いただけるということは
本当に本当にありがたいことです!(^^)!がんばります。
さて、昨年の夏に三重県伊勢市のある地区から
地域の伝統芸能で使う太鼓の修理をしてほしいという
依頼があり、一度見に来てほしいという事で伺ってきました。
地元伝統芸能で使う太鼓らしく、
求める“音”にどうしても仕上がってこない
というSOSでした。
そこで出迎えてくれたのがこの太鼓達!
無形文化財にも指定される伊勢市円座町の円座かんこ踊で使われる太鼓。
見た瞬間!興味津々!(^^)!
なぜかと言うと正直私はこんな太鼓見たことがありません!
一見すると桶太鼓!?なのかな
とまぁカタチそのものは桶太鼓と似ていますが
初見でいくつかの違いがある事に気付きました。
①まずは胴。
胴の素材は曲げ輪っぱ
曲げ輪っぱとは、杉やヒノキ材の薄板をまげて作られるもの。
同じ張り合わせの桶胴とは素材は同じでも作り方は全く異なります。
秋田県やこの三重県南西部尾鷲などでは
昔から良質の杉材がとれることから、米ビツや
その他生活用品として作られていました。
この三河地域では板を横に貼り合わせる桶胴は主流ですが
このような輪っぱの太鼓はこの地域にはなく珍しい胴です(^^
それからそれから、この太鼓の皮!
これがまた見たことがないというか
変わった作り方をしてました。
竹リングに皮を張って縫い上げられてます
まだまだ自分の知らない太鼓ってたくさんあるんだなぁと
ワクワクしながら、地元の方々にお話を伺っていました。
もともと、この太鼓は地元の太鼓屋さんで
つくられたようで、現在は残念ながらその太鼓屋さんが
なくなってしまったとのこと・・・
太鼓そのものについての作り方や仕様などは
地域の方も詳しくはなく、知識はありませんでした。
ただ、求める“音”にはこだわりがあり
その音を作ってほしいとのご依頼。
ちなみに、ある他の太鼓屋さんで
修理を依頼したらまったく自分たちの求める“音”ではなく
使えないで倉庫にしまってある・・・
というお話をうかがったので
何がダメなのかその太鼓も見せてもらいました。
求める音ではない太鼓。
この太鼓を見た瞬間!
あっなるほど!
とピンときました。
この太鼓は通常の桶太鼓に使う皮が
そのまま胴にあてられています
もちろん、音もちゃんと出ます。
でも地元の人からしたらその“音”ではないのです。
答えのヒントは念仏太鼓でした。
私達三河地域には昔から伝統芸能で使う
念仏太鼓と言う太鼓があります。
こんな太鼓です。
念仏太鼓
この太鼓、胴体は通常の張り合わせ桶胴なのですが
皮をリングに張って胴にあてるのではなく、
リングを使用せず、胴に直接皮を張って
ロープで絞めていきます。
これは太鼓の作り方の問題なのですが
こういう風に直接胴に皮を張ると、
胴と皮が密着するので一体感のあるゆるい“音”が出るんです。
創作太鼓で使う桶太鼓とは全然違う音です
今回の依頼された太鼓は
ふちに竹リングは使ってはいますが
それは、ロープを引っ張るための強度的な役割で
基本的に念仏太鼓と同じで胴と密着する“音”だという事が
分かりました!(^^)!
そして、皮も張りの良い牛革ではなく
ゆるくも伸びのある馬革であることがわかりました。
ものすごい専門的な事すぎて
みなさんにはあまり伝わらないかもしれませんが(苦笑)
私にとっては、どうしてこの“音”を求められるのかが明確で
その音を作るにはどうしたら良いのかという事がビビッと
来たことで早く作りたくてワクワク感MAXでテンション↗状態です(^^♪
よしやってみよう!と
早速作業に取り掛かります。
今回は、隅々まで忠実に再現できるよう
素材も製法もすべてそのまま!
竹のリングなんぞもちろん作った事がありませんでしたが
リングから作ることにしました。
竹製のリング
いよいよ音つくりへ作業にかかります!
皮作り
なんせやったことがない太鼓ですので
いう事きかいない事も多々ありながらの皮作り!
行程一つひとつに全て意味のある作業
通常は乾いてから胴と組むのですが
この音を作るためには皮が濡れた状態で
組み上げていきます(^^♪
縫い上げた皮を組み上げる
できた!!
張り替え完了した太鼓。
叩いてみた瞬間!
実際はもう作り始めた時から自分の中で
この“音”のイメージはあったのでバッチリでした(^^♪
今回伝えたい事は、
私の太鼓を作る技術ではありません(^_^.)
どうして、地元の人たちはその“音”にこだわり
またその“音”でなければならないのか・・・
と、いう事です。
カタチが同じであれば良いのではなく、
はたまた、壊れない、丈夫であればよいのでなく
その“音”でなければならない理由。
太鼓ってやっぱり“音”そのものが
メッセージであり言葉であるという事ですね!
わかりやすく言うならば“音”=“言葉”なので
地元の人からしたら、いくら綺麗であたらしい太鼓がきても
その音が自分たちの言葉ではなく、よその言葉だったら
違和感だらけです。
いきなり、日本語の中に英語が入ってくる
みたいな感じでしょうか
太鼓の音(言葉)をとおして
その先に伝えたいメッセージがあるから“伝わる”んですね
これが本質だと思っています。
時代の変化と共に、進化するモノや変えられるモノって
たくさんありますが、その一方で
変えられないモノだったり、
決して変えてはいけないモノってたくさんあります。
そしてその中にはどうして変えてはいけないのか
という“本質”が宿っています。
私はその大切な事をいつもすでにある“伝統”から
学ばせてもらっています
言葉はコミュニケーションです
音もコミュニケーションです。
人と人との想いを繋げてくれる役割があります。
そして伝わると人は心地よさや
安心感を覚えます。
だから太鼓はただ叩く道具ではありません
今日はすっかり熱くなって
いつもにまして長文になってしまいすいません(^_^.)
今日も音つくり
がんばります!