めまぐるしい勢いで2015年の1月が過ぎ去っていきました。
もう2月ですね(^^)/
月ごとの流れを感じながら
今月もがんばります!
さて、今日はちょっと不思議なお話。
太鼓の事は良く知っていても
太鼓の作り方までや構造までは
やはりご存知の方も少ないですね~
この写真はそんな太鼓作りの中で
とても大切な工程に使う道具と場所の写真です。
道具の名前は“すきガンナ”と言います。
ようするに、削るための道具なんですが
何を削るかわかりますか(?_?)
それは、太鼓の皮。
太鼓の皮はご存じ牛の皮がほとんどですが、
叩く面になる裏側、靴やかばん製品などではスエードとも
読んだりしますが、この裏を削るんです。
何の為に削るかというと
大きく2つ理由があります
1つ目は、皮の厚さを整える。
やはり生き物ですので厚いところ薄いところが
あるのでバランスを整えます
2つ目は、音を作る。
先の皮の厚さを整えるのも
単にきれいに調整できればよい
という事ではなく、実際には削りながら“音をつくる”
という作業をしています。
ここの時点での皮つくりで完成したときの“音”が
聞こえなければよい太鼓を作る事ができません。
そして、この作業にかかすことのできない道具が
先に紹介した“すきガンナ”なんです
持ち手も、刃も特注。
刃は、毎日どころか
1枚の皮をすく作業の中でも何回も研いで使います
削る作業=音作り
という太鼓にとって命の部分を作る作業なので
この刃をいかにうまく研ぐことができるかというのが
重要なんですね。
でも正直、ここ2年くらいかな~
新しい刃にしてから
ずっと研げなかったんです。
砥石に原因があるのかと
何度も砥石を変えてみたり・・・
それでもダメだったので、
この刃が良くないのかと思ったりもしていました。
それが、昨日ある事を感じはじめて
それを試したところ突然!磨げる様になったんです。
不思議です。
何を試したのかというと、今までの磨ぎ方、
実際には研ぐという行為に対する考え方を変えてみました。
今までの私は研いでも研いでも研げない刃に対して
一生懸命研ごう、研ごうとがんばってがんばってがんばってました。
なんでこんなに時間かけてがんばってるのに
ダメなのかとイラ立つこともよくありました。
そんな時、ある映画のワンシーンを見たんです。
それは田植えでした。
田植え?
田植えと刃を研ぐこと
何のつながりもないようにふつうは思いますね(^^)
でも、このワンシーンを見たとき
もしかして、田植えも研ぐことも同じなのか?
と感じたんです。
その映画はこんなシーンでした。
ある農家にはじめて田植えの手伝いに来た男性。
地元の方に並んで手で稲を植えていきます。
地元の方は一定の間隔で、テンポを保ち
稲を植えていきます。
それを見ていた男性は、効率が悪いと
間隔やテンポを無視して、誰より早く作業を終えました。
植え終えた作業を見た地元の農家が
一言。
これでは稲は育たないよ。
稲を力強く根付かせるには、一定の間隔と
流れがとても大切だそうです。
そうすることで自然の力を最大限に
活用できることを農家の方々は知っていました。
このシーン見てなるほど!!
って思った。
道具も、自然も同じですね
自分本位の考えや押しつけでは、
自分だけのチカラでしかない。
そこには大きなエネルギーはうまれません。
私は、研げない刃を一生懸命研ごうと
自分自身のチカラでなんとかしようと
それしかありませんでした。
刃を研ぐには、砥石があり、刃そのものがあります。
田植えだって、稲があって、田があって
間隔があります。
自分だけの間隔ではなくて、
言葉で表現することは難しいですが
その感覚を、砥石と刃、道具そのものに
寄り添ってみたんです。
そうしたら、不思議と
今までにない感覚を感じながら研ぐことができ
その瞬間、研げた!
と思いました。
実際に皮を削る前に、これ研げた!
と思えるほど、不思議な感覚がありました。
研いだ刃を見てみると、
今までにない輝きがありました。
心の余裕や、ゆとり
本当の豊かさを感じられる心というのは
目の前にある世界だけに
とらわれていると一生つながることができない
そんな世界があるんだと思います。
そうやって考えると昔の人って
きっと物質的や金銭的には決して豊かではなかったけれど
自然や、ものごとに触れる
豊かな心を持っていたのかなって感じました。
本当の意味での豊かさというのは
豊かさの本質とはそういう所にあるのかなぁ
自然や時節を感じ、ほんの少しゆとりが
もちたいなと
みなさんにとっても素敵な新しい月がはじまることを祈っています(^^)/