2016年12月16日金曜日

真逆が正解という事も実はある。

こんにちは、六代目彌市です(^^)/


基本的にわたしはとことん頑固な職人です(笑)


これは親父譲りでして(苦笑)


自分の考えを曲げるとか、

人の考えを受け入れるキャパは


まだまだあまりないのかもしれないです(笑)



それでもですね、

このお仕事してて


世の中の流れや自分の考えと

まったく反対のことが正解なんだ!



そういう瞬間に出会わせてもらうと、



あぁ、、、


自分の考え方って

“絶対”はないんだなって、、、


そう思うんです



例えば、こちら↓





みなさんご存知太鼓の面に書かれた巴のマーク。


これは、現在当店では“本漆”を使って

描いてますが、



実はこの冬の乾燥した時期は

漆はまったく乾かないのです。



だから、この時期に漆を塗るときは、


強制的に締めきった部屋の空間を作って


ビショビショに濡らした新聞紙を床に引いて

ストーブを炊いて温度を上げて、



湿度80%、室温25度前後を保つことで

漆はようやく乾き始めるのです





普通モノを乾かすときは、

できるだけ湿度の少ないところが常識ですが


漆は逆に水分がないと乾かないのです。



また、漆というのは


塗ったその瞬間が仕上がりとしては一番低い状態。



どういう事かと言いますと、

漆は徐々に徐々に年月を重ねるごとに

深みと強度が増していき育っていく生き物なのです。


普通の塗料は、塗った瞬間が一番美しい状態ですよね。


漆はその逆で、塗った瞬間ではなく

何年も時間を重ねるごとに美しさと深みが増していくんです。


不思議ですね~(*^^*)




まだあります。


こちらは桶の材料で入れている秋田杉↓





まだ製材したばかりの木は、当然木の中に

水分がたくさんあって最低でも1年はこの写真の状態で

乾かさなければならないのですが、



初期の段階での乾かし方は


陽に干すだけではなく、

わざと雨に濡らすことも大切な乾かし方なんです。


そうすることで、木の芯深くにある

余分な水分油分を、


雨水が乾燥するときに一緒に吸い上げ

乾き方が早くなるんですね~



これも不思議です。


普通、洗濯物は

わざわざ雨に濡らすなんてこと

絶対ありませんからね( ;∀;)




考えてみれば太鼓だってそうだな!




太鼓は出来上がった瞬間が一番いい音ってわけじゃない。



何年も何年も叩き、打ち込むことで

音が育っていく生き物。


能楽などで使われる小鼓(つづみ)なんかは


逆に50年以上の古い皮こそ価値があり

高値で取引されるそんなモノだってあります。



古いモノ=悪いモノという

価値観は通用しないのですね。




世の中には、まだまだこうした

真逆の考え方が正解を生むってこと


たくさんあると思います。



そんな瞬間に出会うたび、


私は、自分の考えがどれだけ浅はかなのかと

思い知らされる気がします。



そう考えると、

この世の中にあるすべての物事の答えは


きっと“ひとつ”じゃないのかもしれないですね。



まだまだ修行が足りませぬ(*^^*)


今日もステキな一日を(^_-)-☆