こんにちは、六代目彌市です(^^)/
基本的にわたしはとことん頑固な職人です(笑)
これは親父譲りでして(苦笑)
自分の考えを曲げるとか、
人の考えを受け入れるキャパは
まだまだあまりないのかもしれないです(笑)
それでもですね、
このお仕事してて
世の中の流れや自分の考えと
まったく反対のことが正解なんだ!
そういう瞬間に出会わせてもらうと、
あぁ、、、
自分の考え方って
“絶対”はないんだなって、、、
そう思うんです
例えば、こちら↓
みなさんご存知太鼓の面に書かれた巴のマーク。
これは、現在当店では“本漆”を使って
描いてますが、
実はこの冬の乾燥した時期は
漆はまったく乾かないのです。
だから、この時期に漆を塗るときは、
強制的に締めきった部屋の空間を作って
ビショビショに濡らした新聞紙を床に引いて
ストーブを炊いて温度を上げて、
湿度80%、室温25度前後を保つことで
漆はようやく乾き始めるのです
普通モノを乾かすときは、
できるだけ湿度の少ないところが常識ですが
漆は逆に水分がないと乾かないのです。
また、漆というのは
塗ったその瞬間が仕上がりとしては一番低い状態。
どういう事かと言いますと、
漆は徐々に徐々に年月を重ねるごとに
深みと強度が増していき育っていく生き物なのです。
普通の塗料は、塗った瞬間が一番美しい状態ですよね。
漆はその逆で、塗った瞬間ではなく
何年も時間を重ねるごとに美しさと深みが増していくんです。
不思議ですね~(*^^*)
まだあります。
こちらは桶の材料で入れている秋田杉↓
まだ製材したばかりの木は、当然木の中に
水分がたくさんあって最低でも1年はこの写真の状態で
乾かさなければならないのですが、
初期の段階での乾かし方は
陽に干すだけではなく、
わざと雨に濡らすことも大切な乾かし方なんです。
そうすることで、木の芯深くにある
余分な水分油分を、
雨水が乾燥するときに一緒に吸い上げ
乾き方が早くなるんですね~
これも不思議です。
普通、洗濯物は
わざわざ雨に濡らすなんてこと
絶対ありませんからね( ;∀;)
考えてみれば太鼓だってそうだな!
太鼓は出来上がった瞬間が一番いい音ってわけじゃない。
何年も何年も叩き、打ち込むことで
音が育っていく生き物。
能楽などで使われる小鼓(つづみ)なんかは
逆に50年以上の古い皮こそ価値があり
高値で取引されるそんなモノだってあります。
古いモノ=悪いモノという
価値観は通用しないのですね。
世の中には、まだまだこうした
真逆の考え方が正解を生むってこと
たくさんあると思います。
そんな瞬間に出会うたび、
私は、自分の考えがどれだけ浅はかなのかと
思い知らされる気がします。
そう考えると、
この世の中にあるすべての物事の答えは
きっと“ひとつ”じゃないのかもしれないですね。
まだまだ修行が足りませぬ(*^^*)
今日もステキな一日を(^_-)-☆